北九州SDGsクラブ会員インタビュー 第1回 大英産業株式会社 様 (令和5年 5月30日実施)

大英産業株式会社様にSDGsの取組みについてお伺いしました

北九州SDGsクラブ会員のみなさんが取り組んでいるSDGsの活動を紹介します。
第1回は、総合不動産企業の「大英産業株式会社」様です。

大英産業株式会社様が取り組む「北九州みらいキッズプロジェクト 出張こども大工」は、住宅建築で出てしまう木材の使わない部分、“端材”を利用して子どもたちがイス作りを体験します。プロジェクト担当の鮎川貴大さん(大英工務店)と小野真理奈さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)

(写真左から)鮎川貴大さん、小野真理奈さん

大英産業がSDGsに取り組むきっかけとは?

鮎川 2019年に役員がSDGsに取り組もうと提案し、市役所のSDGs推進の担当の方が講義をしてくれことがきっかけでしょうか。最初、みんなよく分からない感じでしたね。その後SDGsのプロジェクトが立ち上がり、これまでの事業を見直していたらSDGsと紐づいていることに気づき、2020年度の「北九州SDGs未来都市アワード」に応募しました。そしたらSDGs賞(企業部門)を受賞することができました。環境に配慮した住宅や地元からの安定的な人材採用、未来人材の育成(高校での出前授業)が評価されたようです。

具体的に活動が始まったのは?

鮎川 私は大英産業から大英工務店に出向しており、マネジメントの役割を担っています。建築現場をまわっていたとき、当たり前のように捨てられていたたくさんの余った木材を見て「もったいない」と感じたのが活動のきっかけです。大英工務店として、シニア大工さんのセカンドキャリアの実現や天候の影響を受けやすい大工の稼働率向上への打ち手を考える必要性を感じていた中、以前、特別支援学校の方から「寄付金もうれしいけど、雇用につながることが大事です」とリアルなお声をいただいたのを思い出したんです。まわりにいる人たちと一緒に、この端材を使った子ども向けのイベントができるのではないかと考えつきました。このような思いを持ちながら、市に相談したところ障害福祉サービス事業所「桑の実工房」さんを紹介していただきました。それが2020年ですね。

すぐにプロジェクトは立ち上ったのですか?

鮎川 役員にプロジェクトを提案したところ「ぜひチャレンジしてほしい」と承認されたので本格的に活動をスタートしました。はじめは、大工さんが端材をイスのパーツに切り出し、「桑の実工房」さんでその端材の角や表面を滑らかにするイスの木工キットの制作に取りかかりました。

「障がいのある方の特性に合わせた木工加工ができるよう工夫しました」と話す鮎川さん

れから「出張こども大工」の開催になるのですね。

鮎川 はい。1回目は2021年3月に成松幼稚園で実施しました。子どもたちが工具を使ってイスを組み立てていく作業を、大工さんや社員やサポートし、とてもスムーズに進みました。
小野 子どもたちがどのくらい出来るのか分からなかったけれど、無事終えることができました。大工さんからは「ああしたらいい」「こうしたらいい」と前向きな意見がもらえたので、大工さんにとっても新鮮な機会だったようです。印象的だったのは、社員の「楽しかった」「子どもたちから元気をもらった」「明日から仕事がんばれる」という感想。人事を担当している私としてはうれしかったですね。また当時は、コロナ禍で幼稚園の行事も制限されていた時期だったこともあり、プロジェクトの公式サイトを制作し、大工体験の写真を掲載しています。そのサイトは、採用活動で知り合った北九州市立大学の学生さんが担当してくれたんですよ。

「出張こども大工」は子ども大人も真剣!

プロジェクトを通して感じたことは?

鮎川 仕事柄あまり外部の人と接することが少ない大工さんに、子どもたちから「大工さんかっこいい」「大工さんになりたい」と言われ、私もうれしかったし、いつもの仕事での感動とは違う感動がありました。
小野 プロジェクトを通じて、「よい会社ですね」とうれしいお声をいただく機会も非常に増え、会社の認知度も少しずつ上がってきたように感じます。取り組みに共感した学生さんが新卒採用の選考を受けてくれたり、出張した幼稚園の関係者の方から不動産の査定依頼を受けたりなど、会社にとっても様々な方面でよい影響がありました

プロジェクトから広がったこともあるとか?

鮎川 SDGsは、掛け算で広がるような感じです。同じく北九州SDGsクラブ会員の5社(シャボン玉石けん、タカギ、小倉縞縞、キンコーズ、マテリアルマーケット)と共に「SuiSui WASH project」というプロジェクトを立ち上げ、子どもたちに正しい手洗いを広める取り組みも始まりました。また、紙の再生プロジェクト「KAMIKURU」に参画し、当社の様々なツールには再生紙を活用しています。端材のアップサイクルもイスの木工キットだけではなく、今ではトロフィーやコースターなども制作・販売しており、先日は東京の企業からも受注をいただきました。昨年末には北九州市を含む5者で、地産地消での木材活用を推進する木材協定を締結し、会社としてもSDGsへの取り組みをさらに前進できていると思います。

今後の目標や抱負を教えてください

鮎川 大英工務店では、プロジェクトがきっかけとなり「職人が100年輝ける社会」という目標を掲げ、「大工の常識を変え、世の中に新しい価値をつくる」というミッションができました。大工さんをはじめ、職人が100年輝ける社会を実現させたいですね。
小野 これからも大小に関わらず社会課題を解決していきたいです。2年前にプロジェクトがスタートして、本当にさまざまな方とのつながりが広がりましたし、共感の輪も広がることでプロジェクトが続けられると思います。「出張こども大工」は、依頼がある限り続けたい。今後は学生さんにも主体的に運営に取り組んでもらい、この経験が就職活動やキャリアの考えるきっかけになればよいですね。参加した園児が、そのうち自分で作ったイスを持って面接に来てくれる子どもさんがいるかも。そしたら最高にうれしいし、泣いちゃいます。

「人とのつながりが本当に広がり厚みがでたのはパートナーシップ(SDGsゴール17)の相乗効果です」と小野さん

企業情報

創業55周年を迎えた大英産業株式会社。宅地造成からスタートし、分譲マンション・戸建をはじめ中古住宅再販、リフォーム、マンション管理会社、工務店などを手掛ける総合不動産企業に。住宅のほか医療や商業など複合的な施設を含めた街づくり事業にも参画しています。

  • 企業名:大英産業株式会社
  • 代表者:代表取締役社長 一ノ瀬謙二
  • 所在地:北九州市八幡西区下上津役4丁目1番36号
  • 業種:不動産業
  • 創業:1968年
  • 従業員数:410人
  • 企業HP:https://www.daieisangyo.co.jp
大英産業様

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